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あいつはメンヘラしか愛せない
メンヘラ星人を察知して、自分しかそれを救えないとかほざいて、あげく振り回される自分にさえ酔っている
もうずっとメンヘラと付き合っている。
別れても別れても、また違うメンヘラと付き合う。
そのひもたしかハブでみんなで飲んでいた。
四人分のドリンクをオーダーしに、バーカウンターに二人で行ったんだった。
ロンリコ飲もうというあいつと私で、うるさい人をかき分けて注文しに行ったんだった。
最近つきあいはじめたメンヘラのことを、話してたんだっけ。
俺がメンヘラを作り出しちゃうのかななんて、へらへら笑ってた。
自覚あるんだね
言うつもりもなかった言葉が口をつく
驚いた顔なんてしなくていいのに、びっくりしたようにこっちをみる
慌ててバーカウンターに目を移す
じゃあおれどうしたらまともなやつとつきあえるんだろう
いつになったらほんとにすきっておもえるんだろう
そういった彼が悲しくて悲しくて、でもだからといって何もすることができなくて、彼を見た。
同じようにバーカウンターを見ていたことを知って、ああこの人は、私に言ったんじゃなくて、自分自身に言ったんだと知る。同じ方を向いていたようで、そうではなかったことを知る。
でもだからといって何もすることができなくて、私を見ない彼を見ていた。
あいつはメンヘラしか愛せない。